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最高裁判所第二小法廷 昭和37年(オ)903号 判決 1964年4月17日

上告人 株式会社日本機関紙印刷所

被上告人 国

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人谷村直雄の上告理由第一点乃至第四点について。

平和条約発効前においては、わが国の国家機関及び国民は、連合国最高司令官の発する一切の命令指示に誠実且つ迅速に服従する義務を有し、日本国憲法をはじめとするわが国の法令は右指示に抵触する限りにおいてその適用を排除されるものであり、昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官の内閣総理大臣宛書簡がわが国の国家機関及び国民に対する指示として、法規としての効力を有するものであつたことは、当裁判所大法延判例の趣旨とするところである(昭和二六年(ク)一一四号同二七年四月二日大法廷決定・民集六巻四号三八七頁、昭和二九年(ク)二二三号同三五年四月一八日大法廷決定・民集一四巻六号九〇五頁)。いま原判示によると、特審局員の実施した本件差押封印行為は、いずれも、連合国最高司令官が前記書簡に基づきその有権的解釈と具体的指示を与えて命じたところに従い、その範囲内において為されたものであるというのであつて、その認定は肯認できる。そして最高司令官の右指示は降伏条項実施の範囲外であるごと極めて明白であるとはいえず、且つ所論ハーグ条約の定めは日本の占領には直接には適用せられないとした原審判断も是認できる。しからは、本件差押封印行為は、その行為当時において、日本国憲法の規定に照らして違法かどうかを問題とする余地がなく、且つ適法なものであつたとした原審判断は、前示大法廷判例の趣旨に副うものであること明白である。そして本件差押封印行為が行為当時適法であつたとする評価は、平和条約発効後と雖も、他に特別の規定がないかぎり、影響を被るものではない。所論は以上と異る見解を主張するか、その主張を前提として原判決の違憲違法をいうかのものであり、すべて採用できない。

(所論のうち、上告理由書自体に理由内容を示さないで、単に第一審、第二審における準備書面を引用乃至援用するとのみ記載した部分は適法な上告理由といえない。)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 奥野健一 山田作之助 城戸芳彦 石田和外)

上告理由書<省略>

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